自己免疫性肝疾患
患者実態調査 調査報告書
東京肝臓友の会では、自己免疫性肝疾患の患者の実態を把握するため、2021年秋にアンケート調査を行いました。大変遅れてしまいましたが、この3月に調査結果報告書を冊子にまとめました。回答にご協力いただいた会員の皆様に御礼申し上げます。
自己免疫性肝疾患の研究は少しずつ進んでいるものの、患者は長期にわたって病気と向き合っていく必要があります。今回の調査では、患者の治療と生活の状況、さまざまな不安や困難が明らかになりました。この調査結果をもとに患者のニーズを発信し、治療研究や療養環境の改善が進むよう、また社会の理解が深まるよう努めてまいります。
ここでは、報告書の内容を抜粋して簡単にご紹介します。
◇調査期間:2021年10~11月
◇対象:原発性胆汁性胆管炎(PBC)、自己免疫性肝炎(AIH)、原発性硬化性胆管炎(PSC)の会員 265名
◇調査方法:調査用紙を郵送にて配布・回収
◇回収状況:会員265名に発送、190名から回答(回収率71.6%)
Ⅰ.プロフィールについて
◇年齢・・・(グラフ1)
◇性別・・・男性:37人 女性:153人 (男女比 およそ1:4)
Ⅱ.自己免疫性肝疾患の治療について
設問⑤ 病名(グラフ2)
◇オーバーラップはAIH+PBCが15人、AIH+PSCが3人だが、AIHとPBC・PSCにそれぞれカウントした(複数回答)
◇AIH、PBCは9割前後が女性、PSCは男性が6割
設問⑩ 合併症・副作用・症状があるか(複数回答)
◇疲れやすい・・・AIH、PBCでは約55%、PSCは29%
◇倦怠感・・・3疾患とも32%前後
◇かゆみ・・・PBC:36%、PSC:29%、AIH:21%
◇AIHでは骨粗しょう症が30%
◇PBCではシェーグレン症候群が34%
◇PSCでは潰瘍性大腸炎が49%
設問⑮ 治験に参加したいか?
◇全体では「どちらとも言えない」が48%で最多
◇「参加したい」・・・AIH、PBCは3割前後、PSCは5割以上
設問⑰ 難病の医療費助成制度
◇利用していない人・・・AIH:58%、PBC:48%、PSC:43%
◇利用していない理由(複数回答)は「軽症のため対象外」が約7割で、AIHの割合が多い
Ⅲ.就労・社会について
設問⑲-2 働きやすい環境・配慮・制度(複数回答)
◇全体では「通院への配慮」が約7割で最多
◇男性は「業務負担の軽減」、女性は「短時間勤務可能」がそれぞれ5割前後と多い
Ⅳ.情報について(略)
Ⅴ.おわりに
設問㉖ 病気についての心配・不安
◇全体 「ある」73%、「ない」18% (無回答 9%)
◇〔自由記述〕具体的には、「予後」に分類される記述が全体で54%と突出して多い(次に多いのは「現在の病状」「仕事・生活」「薬を飲み続けること」各11%)
◇AIHでは、ステロイド・免疫抑制剤を飲み続けることや副作用についての記述が多い
◇PBCでは、高齢で通院の継続が困難なこと、他の病気の治療と影響についての回答が多い
◇PSCでは、仕事・生活、移植、治療法が未確立といった内容に回答が集中している
設問㉗ 国に要望したいこと(複数回答)
◇3疾患とも「治療薬の開発」が最も多い(AIH:80%、PBC:65%、PSC:86%)
◇疾患別の特徴として、AIHは「医療費の支援」48%、PBCは「相談窓口の充実」30%、PSCは「就労支援」34%が目立って多かった。
以上
★この報告書冊子(56頁)を行政・医療関係者の方々にお読みいただきたく存じます。ご希望の方は、東京肝臓友の会までお問い合わせください。どうぞよろしくお願いいたします。★
お問い合わせ: 東京肝臓友の会
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