◆平成22年度PBC特定疾患医療受給者は17,298人で、PBC患者総数は57,660人であり、年間約500人発生している。ウルソ単独投与は61.1%、ベザフィブラートとの併用は16.5%、ステロイドとの併用は3.3%で、ウルソ投与は全体の80%以上である。無症候性の20年生存率は82.1%、症候性の20年生存率は50.2%である。(日本消化器病学会雑誌110,8-15,2013年)

◆2010年に登録された急性肝不全のうちAIHは16例(7.1%)を占め、病型は非昏睡型9例、亜急性型4例、遅発性肝不全3例だった。昏睡型(亜急性型、遅発性肝不全)の7例は全例死亡したが、非昏睡型9例では1例が死亡したのみだった。非昏睡型ではIgG低値、抗核抗体が低力価など診断困難な例が多いが、昏睡型ではIgG、抗核抗体力価とも高値の例が多く、早期診断による治療開始で予後が改善する。(肝胆膵66[3],2013)

◆PBCでウルソ不応例とは「ウルソ投与が開始されたPBC症例において、そのままの治療では予後不良が予測され、治療方針の変更が必要な症例」である。アンケートでも全体の84%が投与開始量を600mg/日としている。ウルソ不応の場合の追加治療としてはアンケートによると57%がウルソを900mg/日に増量し、41%はベザフィブラート400mg/日を追加している。(日本消化器病学会雑誌110,16-21,2013)

◆AIHの治療開始後3年以上経過した131例を検討。再燃はALTが正常化後に正常値上限の2倍以上への上昇を少なくとも2回以上認めた場合とした。再燃は49%の症例であり、非再燃例に比べて若年であり、抗平滑筋抗体の陽性率が高く、プレドニン導入量が多かった。再燃例のうち61%でアザチオプリンが使用され、アザチオプリン使用例の39%で寛解が得られた。(厚生労働科学研究費補助金分担研究報告書 2012)         

(文責:PBC・AIH・PSC部会 三浦)