特定非営利活動法人 東京肝臓友の会主催
PBC・AIH交流会の報告

PBC・AIH交流会の報告 4月21日(日)午後1時から、東京都難病相談・支援センターにてPBC・AIH(原発性胆汁性肝硬変・自己免疫性肝炎)の患者交流会を開催しました。PBC 17名、AIH 9名、PSC(原発性硬化性胆管炎)1名、他1名の参加がありました。全体での自己紹介と話し合いの後、PBCとAIHに分かれて交流し、それぞれの疑問や不安を共有し、自分たちなりに解決することができました。

全体会での談話より

  • 皮膚のかゆみは我慢するしかないという声が大半でしたが、通気性のある寝具を選んだり、スーッとする市販のかゆみ止めを塗るなどの工夫も聞かれました。また、抗アレルギー剤の他に、高コレステロール血症の薬コレスチラミン(コレバイン)や抗結核剤のリファンピシンが処方されることもあるそうです。さらに、かゆみの神経に働きかける薬があり、既に透析患者は使っていて肝臓病患者での治験も行われていたそうです。PBCでも使えるようになることが期待されます。
  • 足がつる場合、カリウムやツムラ68(芍薬甘草湯)を飲んで効果があった方もいました。何が良いかは人それぞれなので、主治医に相談してみましょう。

PBCグループでの談話より

  • PBCではタンパク質の吸収が悪くなりがちで、数値も低い人が多いと思います。病院ではアルブミンの数値が3.5g/dl以下にならないとリーバクト等が処方されないので、市販のアミノ酸(アミノバイタル、バーム等)を摂っている人も多くいました。また、足などつりそうになった時にアミノ酸入りのスポーツ飲料を飲むと治まるという人もいました(糖分の摂り過ぎにならないよう注意を)。
  • 肝生検は、参加者ほぼ全員が経験していました。肝生検を受けずにPBCと診断され治療を始めた方は、肝生検の方法やいずれ受けるべきなのかなど不安を感じていて、それぞれの体験談に耳を傾けていました。
  • 2年前に肝臓移植した40代女性の方から、貴重な体験談を伺いました。
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     『10年前に進行性のPBCと診断されて以来、検査の度に数値は良くなったり悪くなったりでした。特に苦しめられたのは食道静脈瘤です。手術してもまたできてしまいました。腹水はそんなに溜まっていなかったのですが、脾臓が腫れていて妊婦と間違えられるくらいでした。
     検査の度に数値から余命を言われ、その時によって長くなったり短くなったり。周囲の人たちにそんな辛さを見せることもできず、精神的にも身体的にもとても辛い時でした。
     貧血や糖尿病も患っていたので、移植を断られた病院もありましたが、ようやく娘がドナーとなって移植手術を受けられる病院に巡りあいました。手術は20時間くらいかかり、肝臓と脾臓を全摘しました。
     親として結婚前の娘に傷を付けてまで移植するべきなのかと随分悩みましたが、その娘も今は結婚して子どもも生まれたので、ほっとしています。
     現在の生活は、一生免疫抑制剤を飲み続けること、この薬のためにグレープフルーツは厳禁、あたりやすいものは食べない、熱が38度を超えると即入院となるためマスクをして外出するなど、常に体調管理を怠らないこと等の制限があります。また、糖尿病のために食事の時間とカロリー、塩分などの制限があります。
     でも、移植をしたらあんなに苦しんでいた食道静脈瘤が全くできなくなりました。将来的にPBCが再発する可能性もあるということですが、移植前の死への恐怖と不安を考えたら、今は夢のようです。
     今思うと、手術ができて本当に良かったと思います。できれば小康状態のままずっと病気とうまく付き合っていければいいのですが、もし病状が進んで厳しい状況になってしまった時には、移植という方法もあると考えてはいかがでしょうか。
     移植手術は、そこに至るまでの段階でいろいろな条件をすべてクリアしないとできません。でも、現代医学はどんどん進んでいますので、治療法の一つとして頭の中に入れておいてもいいのではないでしょうか。自分だけのことではないのでとても難しい問題もあると思いますが、私は手術をして生きていることができて良かったと思っています。』

    AIHグループでの談話より

  • 食事については、例えば肥満にならないよう注意する程度で、あまり神経質にならずバランスよく食べている方が多くいました。
  • ステロイドを飲んでいると、風邪など感染症の薬を飲むことに不安があります。市販薬は避けたり、飲んでもいい薬をあらかじめ主治医に聞いておき近所のかかりつけ医に処方してもらうなどして、皆さん気をつけていました。
  • ステロイドがなかなか維持量まで減らせないという悩みや、『一部の都道府県でしか対象になっていない医療費助成が全国で認められるのを期待している。症状が軽い場合は認められないのではと危惧している』という話題も出ました。
  • 交流会に参加して悩みなどを話し合いましょう

     交流会で『この先どうなってしまうのでしょうか?』と、よく質問が出ます。
    最初の診断で初めて聞く病名、原因不明の難病。予後は…?という不安と、情報の少なさ。中には数年で悪くなるという情報もあり、それを目にした時のショックは、皆さんが経験したことでしょう。交流会で同じような経験と意外に安定した現状を聞いてほっとし、数値や症状が落ち着いていれば普通に生活していいんだという前向きな気持になってもらえるのは嬉しいことです。
     もちろん、症状や置かれている状況、合併症など人により様々ですから、しっかり自分の体の状態を知って管理することが大切です。
     でも、この先あと何年…などと考えこんで精神的に辛くならないことです。実際には、フルタイムで働いたり運動やボランティアをしている人もいて、それぞれ自分のペースを見つけて生活しています。何ができないかを数えるのではなく、できる何かを見つけて楽しむことの方が、これから先の人生の良い過ごし方ですね。それぞれの人生そんなに捨てたものではないのです。だって、この世に生まれてきたことが、まずは一番すごいことなのですから。今楽しめるたくさんのことを考えて、心豊かな生活をおくりましょう。交流会では、ぜひそんな気持ちの転換をしていただきたいと願っています。

    (PBC・AIH部会リーダー 山崎)

    『患者さん・ご家族のための 原発性胆汁性肝硬変(PBC)ガイドブック』

    PBCの会員さん、『患者さん・ご家族のための 原発性胆汁性肝硬変(PBC)ガイドブック』が厚生労働省の研究班から2013年4月に発行されました。東京肝臓友の会も作成に協力しました。ご希望の方に差し上げますので、東京肝臓友の会(電話03-5982-2150)までご連絡ください。

    ※AIHのガイドブックも今後発行されますので、その際は会報でお知らせします。